特集1食卓からの健康宣言
その6 本物の調味料を使う

石油から作られる化学調味料の不安

昆布のうま味はグルタミン酸、かつお節はイノシン酸、しいたけの味はグアニル酸、貝のうま味はコハク酸……とよく聞きます。こうした物質を化学合成で作ったものが化学調味料です。合成のダシや、うま味調味料といったものがそれです。

化学調味料の原料は石油系の化学物質。石油系物質の共通問題としての、発がん因子混入が心配されます。また単独物質であることから、摂りすぎると健康を損ねる可能性があります。

ダシ汁を取るときは天然の材料で取ることがいちばん。うま味物質だけではなく、自然が持つほかの物質もいっしょに摂ることができるからです。

添加物の入っていない調味料とは

「日本の調味料」として世界的にも有名なしょう抽は、丸大豆をこうじ、塩、水で仕込み発酵、1~2年かけて熟成させます。しかし現在市販されているほとんどのしょう抽は、大豆から薬剤で抽を取ったあとの残りかすである輸入ものの脱脂大豆を原料に、これに塩酸を加えて加水分解し、ソーダ灰で中和したアミノ酸液に合成甘味料、酸味料や着色料、カラメルなどでそれらしい味と色をつけ、なおかつ防腐剤も加えて作られています。

ラベルに「原材料、大豆」とだけあったらこの速醸法で作られているので注意しましょう。きちんと醸造されたものは冷蔵庫に入れておけば防腐剤がなくても半永久的にもちます。

味噌も最近は脱脂大豆を原料にしたものが多く、化学薬品や添加物が加えられています。「減塩」をうたうものも化学調味料で味を足している場合があります。天然醸造のものを買うようにしてください。パッケージがふくれたりカビがはえたりしてびっくりするかもしれませんが、これは味噌が生きている証し。カビはその部分だけ取り除いておけば大丈夫です。

酢も本来は米や果物、酒などを酢酸菌で醸造したものですが、原料と手間を省くためアルコール添加をした酢がほとんどというのが現状です。少ないながら天然醸造のものも出ているので、表示をよく見て買うようにしましょう。

塩は、古くは金と同等の扱いをした国もあったほど、人間にとって重要なものです。しかし日本では高度経済成長期に「塩業近代化」の名のもと、古来の塩作りをやめ、精製された化学塩のみが出る時代がつい最近まで続きました。

学校で理科の時間に「塩=塩化ナトウム」と習ったと思いますが、塩化ナリウムは塩の主成分でしかありません。これ以外にマグネシウムやカルシウムなど、数々の微量元素が含まれているのが本物の塩なのです。 塩、しよう油、酢、味噌の基礎調味は惜しまずに本物を使うようにし、ダシは天然の材料で取りましょう。料理がぐんとおいしく、ヘルシーになります。

特集1の目次へ