美と健康を保つ、オーガニックの薔薇の力

植物の力でスキンケア

オーガニックの薔薇の特性や効用についての特集。

Organic Rose

「花の女王」と謳われる薔薇。うっとり眺めているだけではなく、 その美しさを自分に写し取ることができるのをご存知でしたか。

古来薔薇はその美しい姿形が人々から愛されるとともに、薬に、香料に、料理に、入浴剤に、 そして化粧品にと、すぐれた薬効が認められてきました。

現代の女性たちにとっても、化学成分に頼らずに植物の力で いつまでも美と健康を保ちたいなら、薔薇は一番の味方になるはずです。 そして生命力を宿すオーガニックローズを選ぶのを忘れないでください。


1. オーガニックの薔薇パワーでみずみずしい素肌をよみがえらせる

美しい薔薇は、見る人を夢の世界へと誘います。でも薔薇は姿形が魅力的であるだけではなく、じつはこの上なく有用な薬草なのです。その数多い効能ゆえにまさに「万能薬」として、古くから医療や美容に使われてきた歴史があります。

ただし現代において薔薇は、さらに姿形に磨きをかけるための交配によって、農薬や化学肥料なしには育たない花になってしまいました。スキンケアに使う時は、できれば薔薇の原種に近いオールドローズを、そしてくれぐれも有機栽培の薔薇を使いましょう。

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2. 古来、認められてきた薔薇の薬効

古代エジプトの女王クレオパトラは、薔薇のお風呂で湯浴みすることで若さと美貌を保ったといいます。伝説の女王にふさわしいエピソードですが、どうやらおとぎ話ではないようです。クレオパトラとほぼ同じ時代のローマ人、大プリニウスは西暦76年に著した『博物誌』の中で、浴槽に薔薇の花を満たした「薔薇風呂」によって肉体を若々しく保ったと言っています。同時に彼は、胃痛、歯痛、不眠症、傷、炎症など32種類の症状の治療に薔薇が有効だと論じました。

それ以前のかなり古い時代から、薔薇は薬として用いられていました。古代ペルシャでは、薔薇の花びらを浸けて香りを染み込ませた油脂を鎮痛剤として使っていました。中国医学では薔薇の一種、ハマナスの花が肝臓や血液の病気に効くとされ、インドのアーユルヴェーダでは、薔薇はからだのバランスを調整し、よみがえらせる効果があると考えられています。とくに心臓、眼、皮膚によく、血液の濁りを取る効果も高いとしています。エジプト人も薔薇の花びらを脂肪に浸けてクリームを作り、皮膚病の治療に使っていたのです。

20世紀初めの芳香植物研究家、マルグリット・モーリーは著書『生命と若さの秘密』で「薔薇は女性の生殖器官を浄化し、その機能を調整する」と説きました。

さらに近代に入ると薔薇には、さまざまな芳香分子が存在し、それが薬効の元であることが科学的につきとめられ、薔薇の効能が伝説や迷信でないことがわかってきました。

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3. ローズマリーとローズジャムで若さを取り戻した女王の話

では、もうひとつ薔薇の力を知らしめるエピソードを紹介しましょう。

「肌本来の機能を回復させるのは化学成分ではなく、自然の中に存在する植物の成分にある」と考えたからです。

その昔のこと、ポーランドのある女王がハンガリー王に恋をしました。女王はそのとき77歳。けれどもなんとしてでも王の心を惹きつけようと、女王は若さを取り戻す決意をしました。その彼女が選んだのが、ローズマリーと薔薇。

彼女が愛用した化粧水は後に"ハンガリーウォーター"として知られるようになりましたが、それは薔薇やローズマリーなどのエキスが溶け込んだものでした。おそらく2、3日ごとに新鮮なオールドローズを摘んで自ら作っていたはず。それと同時に彼女は薔薇の花びらや実も使ってローズジャムを作り、いつでもどこでも食べていました。

香りとしてエキスとして、薔薇の精のすべてを取り込むことで、女王は驚異的な若さを得ることに成功。そしてついにハンガリー王からプロポーズを受けました。薔薇は、不可能に思われることを可能にしてくれたのです。

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4. スキンケアには、有機栽培のオールドローズがおすすめ

こんなにも秘められたパワーを持つ薔薇ですが、花屋さんで買ってきた薔薇をスキンケアに使うのは考え物。残念なことですが、ほとんどの薔薇は、近代になって交配を重ねたハイブリッド種で、多くの農薬が使われています。ですからスキンケアには、有機栽培の薔薇を使うことをおすすめします。

また、ローズのコスメも有機栽培のローズが原料であることが望ましいのです。あるいは人工的な交配が重ねられる以前にあったオールドローズが美容効果も期待できます。自分で育てるのが一番ですが、オーガニック・ローズティーを使うのもいいでしょう。

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5. 薔薇の香りは人の心を癒してくれる

薔薇の持つ神秘的な力は、このように世界各地で古くから認められてきました。また薔薇の香りが、人の暗い心を明るくさせ、華やかにすることも知られています。鬱病にもっとも効果的な治療薬として薔薇の香りが用いられたこともあります。

なんだかおおげさなようですが、薔薇には、人の精神と肉体をともに美しく進化するのを助けてくれる力があるようです。そう考えたひとりが、フランスの代表的な植物療法家モーリス・メセゲ。「野生のものであれ栽培されたものであれ、薔薇にはすべて『美をもたらす』という効能があります」と断言しています。

不思議なことに薔薇の化粧水は、脂性肌の人にも、その反対の乾燥肌の人にも良い効果をもたらします。どうやら薔薇はホルモンに似たはたらきを持ち、皮脂を調整するバランス回復作用があるようです。

特別な花である薔薇の神秘はいくつもあります。ほかの精油は、化学合成して似たものができますが、薔薇の精油だけはあまりに複雑な香りの組み合わせでできているために模倣できないそうです。その複雑な香りがどんな肌をも改善する力を発揮するわけです。

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6. ぜいたくな薔薇風呂を試してみて

「薔薇色の美しい顔色を手に入れる最良の方法は、薔薇そのものを使うことである」と、薔薇に魅せられたある植物療法家は言っています。

薔薇そのものを使う方法で、一番手軽なのは薔薇のお風呂です。薔薇を浴槽に浮かべれば、薔薇の芳香が蒸気とともにあがって肌と呼吸器から効果的に吸収されます。美しさ、香り、薬効ともに最高の薔薇風呂を現代によみがえらせたい――まずは自宅のお風呂で復活させない手はありません。ただし、観賞用の薔薇は、農薬のお世話になっていることが多いので要注意です。一番いいのは自分で育てた薔薇を好きなだけ摘み取って、そのまま浮かべて湯の面を覆うことです! 

薔薇を育てる場合、現代のモダンローズではなく、より原種に近いオールドローズをおすすめします。香水に使うダマスクローズ、薬屋の薔薇といわれるほど薬効があるロサ・オフィキナリス、あるいは、中国の雲南省が原産といわれるマイカイなどは、農薬なしで育てられるほど丈夫で香りのいい薔薇です。

でもそれはやっぱり無理、という方には、オーガニックティーの薔薇の花びらを5gから10gほど使って、ソーサーで浸出液をたっぷり作ってバスタブに注ぐ方法はいかがでしょう。さらに湯に薔薇の花びらを散らせば、そこはもう薔薇風呂が出現します。

ストレスにさらされて心がくもりがちなときには、小麦胚芽オイルに薔薇のエッセンシャルオイル一滴を希釈して、それをバスタブに数滴垂らしてみてください。素肌を美しくする薔薇の薬効はもちろん、香りが心のくもりをとばし、ストレスがサーッと引いていくのがわかるでしょう。


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