特集1食卓からの健康宣言
その3 植物性脂肪を摂りすぎない

リノール酸は万能ではない

油脂はビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンの吸収を高め、その構成成分のうちリノール酸は栄養上必須とされています。またカロリーが高く、胃での停滞時間が長いために腹持ちが良く、食事の量を減らすのに役立ちます。しかしその一方で摂りすぎは消化器官への負担になり、脂肪肝や肝臓障害の原因になっています。

油脂は体内でグリセリンと脂肪酸とに分解されます。脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、動物性油脂には飽和脂肪酸が、植物性油脂には不飽和脂肪酸が多いという話はよく聞きます。動物性脂肪はコレステロール値を上げ、植物油、とりわけリノール酸はコレステロール値を下げるといわれてコーン油や紅花油、ヒマワリ油や棉実油などがもてはやされてきました。

ところが最近では、リノール酸の過剰摂取により、動脈硬化や脳血管障害を引き起こす可能性があることがわかってきました。さらにα-リノレン酸という新しい必須脂肪酸が発見されました。これはシソやエゴマの抽に多く含まれ、脳や神経の機能を高く保つことが確認されています。そしてリノール酸とα-リノレン酸をバランス良く摂ることが慢性疾患を防ぎます。

絞って作られた油を使おう

現在、多くの油は有機溶剤を使って油脂を溶かし出し、その後溶剤を揮発させて作っています。さらに不純物を取り除くため水酸化ナトリウムやシュウ酸、劣化を防ぐためにクエン酸、脱色のために酸性白土や活性炭、タンパク質などを除去するためにリン酸、さらに消抱剤としてシリコン樹脂までもが使われています。加えて加熱処理され、味も臭いも栄養もない、化学物質だらけの油になっているのです。油を買うときには、昔ながらの圧搾機で搾られたものを選びましょう。

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