特集1食卓からの健康宣言
その2 動物性タンパク質を摂りすぎない

アレルギーの原因になりやすい動物性タンパク質

「何を食べたら良いのか」というのは、栄養学の基本的なテーマですが、その答えはじつは歯にあります。

たとえば、肉食動物である犬や猫はすベての歯が肉を引き裂くための犬歯、草食動物である牛や馬は穀物をすりつぶすための臼歯と繊維をかみ切るための門歯しかなく、犬歯はそっくり抜け落ちています。 人間の歯を見ると、いちばん多いのは白歯で20本。次に門歯が8本。いちばん少ないのは犬歯で4本。 これらのことが示すのは、人間は肉を食べる機能はあっても乏しく、本来穀物と野菜を中心に食べる生きものであるということです。

従来、肉や牛乳、卵といった動物性タンパク質は、人間に必要な数々のアミノ酸がバランス良く含まれているとして、良質なタンパク源とされてきました。しかし最近ではアレルギーの問題もあり、その常識が変わりつつあります。

市販の殺菌牛乳はタンパク質や乳糖の変性が起こっているともいわれています。乳牛には乳の出を良くするために薬物が与えられており、これが牛乳の中に混じっている危険性もあります。 卵についても現状ではホルモン剤入りの飼料で、夜間も照明を照らされた不自然な状況の中、雌だけで産卵させられた無精卵がほとんどです。卵を着色することさえあるといいます。かなり多くのコレステロールが含まれているのも気になることです。 肉類については、タンパク質と同時に多量の脂肪を摂取してしまうという問題点があります。

魚や植物性タンパク質がよりヘルシー

動物性食品は腸内で腐敗発酵を起こしやすく、動物食の歴史が長い西洋人の腸は短くなり腸内に食べ物が長く停滞しないようになっています。しかし腸の長い日本人は腐敗発酵の際発生する有害物質が吸収され、からだの機能を低下させているといいます。

四方を海に囲まれ、水の豊かな日本では、動物肉より魚肉のほうがなじみがあったようです。魚介類には陸産物にはない数々のミネラルが含まれており、それが日本人の健康を支えていたのかもしれません。 現在は植物性のタンパク質が注目されています。「畑の肉」と呼ばれる大豆のほか、米や雑穀、ゴマにも含まれています。

8種類の必須アミノ酸は、体内で作ることができず、食事からしか摂れません。これまでは必須アミノ酸は肉や卵などの動物性タンパク質に効率良くそろっているといわれてきました。しかし、動物性タンパク質について数々の問題がクローズアップされてきている今、植物性タンパク質をうまく組み合わせて食べるほうが理想的です。つまり、いろいろな種類の植物性タンパク質となる豆類や野菜を食べることで、良質の8種類の必須アミノ酸を摂ることができます。

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