特集1食卓からの健康宣言
その9 よく噛んで、腹八分目に食べる

規則正しい食事で、胃腸を休める

胃腸は栄養素を摂り入れるための第一の器官です。また代謝においても重要な役割を果たしています。健康であるためにはまず、胃腸が元気であることがなによりです。しかし食べすぎ、飲みすぎ、不規則な食事は胃腸を酷使することになり、人体の生理にも異常をきたしやすくするのです。

理想的な食事時間は、胃が前回食べたものを十分消化し、胃が空になってしばらくしてから次の食事を摂ることです。胃は食べ物を消化した後もしばらく動き続けて、中に残ったかすを外に送り出します。これが終わらないうちに次の食事をすると胃がもたれたり、消化器官が栄養の処理に追いつけなくなります。その揚げ句、一部を脂肪に変化させてしまうことがあるため、肥満を引き起こす可能性もあるのです。

人間の欲望の中で最も強いものは食欲だといいます。これをコントロールすることは難しく、まして日本人は終戦直後から体位の向上のみを目指して、カロリーやタンパク質などをできるだけ多く摂取するよう教え込まれており、母親たちは子供に「たくさん食べて大きくなりなさい」といい続けてきました。量を食べることが健康につながると思い込んできたのです。「腹八分目」という言葉をもう一度思い出しましょう。同時に特定の栄養素ばかりを摂ることも避けたいものです。

よく噛めば、いいことがいっぱい

もうひとつ大切なことは、よく噛んで食べるということです。よく噛むとまず唾液の分泌が促されます。唾液が多く出ると虫歯を予防し、毒性物質を分解するともいわれています。また、よく噛むことは食べ物を細かくし、繊維を細分化して、唾液ともよく混じり消化吸収を助けます。少ない量で満腹感を得ることができるため食べすぎを防ぎ、長生きに役立つといわれている耳下腺ホルモンの分泌を促します。

最近は柔らかい食べ物が増え、あまり噛まなくても食べられるので、子供や若者の噛む力は弱くなっています。あごが細くなり顔の形も昔の人とは変わってしまいました。親知らずの痛みや顎関節症に悩む人も増えていますが、これらの原因も食べ物を噛まないことや、あごが細く小さくなったことだそうです。 食べ物はゆっくり味わいながら、よく噛んで、腹八分目に食べるのが健康の秘訣です。

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