特集1食卓からの健康宣言
その8 農薬や化学肥料を使った農産物は避ける

人のからだも土地も汚染する現代の農業

現在の農業は、農薬や化学肥料とは切り離せない状態になっています。 近年は有機水銀、パラチオン、DDTなど毒性の強い農薬は使用が禁止されていますが、有機リンやパラコート、除草剤などによる中毒が絶えません。環境ホルモンの可能性を指摘されているものもあります。 またすでに使用を禁止されているものでも、長年の使用により土壌や水質が汚染されています。それは簡単に消えるものではありません。特に分解されない有機水銀は、大きな問題になっています。

たとえ動物実験などで「問題ない」という結果が出ても実際の環境のもとでは複数の殺虫剤が使われ、食品添加物や洗剤、薬物も混じった「複合汚染」が進んでいます。そのような状況下で農薬や化学肥料がどのように作用するのかはわかりません。

農薬は土中のミミズや有益なバクテリアを殺し、益虫や益鳥をも駆逐して土壌の力を弱らせます。弱った土壌では作物は健康には育たず、病気や害虫に抵抗できません。そこで化学肥料と農薬がさらに投入され、肝心の害虫は抵抗力をつけて復活するので、より強力な薬剤が必要になる……という悪循環を招いているのです。

有機農業を応援しよう

農薬や化学肥料がひとつの食品から入る量は少なくても、現状では数々の農薬や化学肥料が同時に、一生の間食事とともに人体に入り続けている可能性があります。このように極めて不健康な、薬漬けの農作物を食べて、人間が健康になれるでしょうか? 消費者の中にそんな疑問を持つ人が増えています。

同時に、現在の農業に危機感や疑問を持ち、農薬や化学肥料に頼らない農業の在り方を模索している農家も数多くいます。

このようなことから、農薬や化学肥料を減らした、あるいは使わずに作った農作物が少しずつ市場に出回るようになり、宅配してくれる業者もあります。 まだ完全とはいえませんが、このようなところをうまく利用して、できるだけ安全な農産物を使うようにしたいものです。

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